ひとりごとというモールス信号

 

「ひとりごと」は、一人でつぶやくことを言うけど、

総じて誰かの前でつぶやくことが多い気がする。

 

「難しいなー」「どうしよー」とか迷いを表したり、

「あー」「もー」「はぁ…」とか苛立ちを表したり。

 

なぜ人前で、わざわざひとりごとを発するかといえば、

基本的には、誰かにかまって欲しいという欲求の現れだろう。

 

昨日の夜22時過ぎ、オフィスでのことだった。

 

病室でもっとやっておけばよかったなー

俺は、なんでやってなかったんだろうなー

 

いくつかの業務進行に遅れがでていて、

時間のあった入院中に取り組むべきだったと自分を責めた。

 

退院してからというもの、不安と焦りが募るばかりだった。

ライフスタイルが変わったことの影響もあってか、

一気にいろんな業務や課題解決に追われ、息苦しくなった。

 

最近は、床についても、ほとんど寝れなかったりして、

不安や自身への不満が滞留していくのを実感している。

そして、昨晩もそんな憂鬱な気持ちで自分を責め、

その内なる声を、口から音にして発してしまった。

 

隣のデスクにいたの民野は、作業の手を止めることなく、

僕の雑音にサラッと反応した。

 

いや、あの時は治すことに全力だったんだろ?

治療について調べたり、いろいろ考えたり。

今は、また目の前のことに全力を尽くせばいい。

 

説教じみたものでなく、本当にサラッとしたものだった。

だから、一層に自分が恥ずかしくなったし、救われるような気持ちがした。

 

3年前、深夜のカフェで、泣きながら事業に対する不安や思いの丈を話した時、

「背負いすぎるな。なんのために一緒にやってるんだ」と民野に一喝された。

 

「あの時みたいに、もっと早く素直に話せばよかったなぁ」と、

ベッドで横になって思い返した。昨日は、驚くほどすぐに眠れた。

 

内なる部分から発せられるモールス信号をキャッチし、

僕の舵取りを正してくれた長年の相方に感謝したい。

 


垣内俊哉の初著書、好評発売中!
4,000万人の市場を生んだ反転戦略とは?

「バリアバリュー」

Amazonで購入する

オーディオブックを購入する

垣内俊哉の初著書 バリアバリュー
Pocket
LINEで送る