6月8日(土)、いつもと同じ病室にいた。
いつもと同じように、朝7時に目が覚めて、
いつもと同じように、体重を測りに廊下へ出た。
いつもと違って、お風呂の予約をする必要がないから、
いつもと違うことに、なんだか少しそわそわした。
いつもと同じように、貧血防止のドリンクを飲んで、
いつもと同じように、朝ごはんを食べて、
いつもと同じように、金先生が迎えに来た。
いつもと同じように、「コンコン」とドアをノックする音がして、
いつもと同じように、「垣内さんいらっしゃいますかー?」の声。
今日で最後かと思うと、少し寂しい気持ちになった。
いつもだったら、処置が終って、12時には昼ご飯を食べて、
17時半にはお風呂に入って、18時過ぎに晩ご飯を食べて、
19時半からパソコンをして、22時か23時くらいに寝る。
おおまかに言ってしまえば、こんな毎日を過ごしていた。
そして、そんな僕にとっての「いつも」は終わった。
荷物を病棟から運び出し、駐車場に行くとなぜかスタッフがいた。
パートナー企業の金子さんもいて、思わず大きな声が出た。
東京から始発で来てくれたらしく、グッと込み上げるものがあった。
僕が入院していた病院に、クラッカーの使用について確認を取るなど、
周到な準備を重ねたサプライズ作戦だったそうだ(笑)
47日間の入院生活は、いろいろあったけど、ゆったりと流れた。
不毛な一日もあったし、いろんなことを思い、考える時間もあった。
今日まで生きてきた8,825日の内、この時間は1%にも満たないけど、
これからの人生において、計り知れない価値のある時間だったと思う。
そして、今日、退院して4日が経つ。
病院と比べると、一日が走るように過ぎ去っていく。
入院期間中に、体重も体力も驚くほど落ちたし、
まだ万全の体調とはいえないから、外の生活は正直辛い。
車いすに乗っているだけで疲れるし、気温差はこたえる。
でも、これは病室のベッドで望んだ、僕の「いつものいつも」だ。
車いすに乗りたくて仕方なかったし、早く外に出たかった。
生死の境を乗り越えて、今、僕は「いつものいつも」を生きている。
そう思うと、熱いのも、疲れるのも、ほどほどに心地よかったりする。