吃音症の女の子の葛藤を描いた「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を読んだ。
友達の存在が志乃ちゃんを変えた。そして、志乃ちゃんのラストのセリフは強烈だった。
「私をバカにしてるのは 私を笑ってるのは 私を恥ずかしいと思ってるのは 全部私だから」
僕はあの時、運動会のリレーを涙を浮かべ眺めていた。
僕はあの時、恋人と手を繋いでデートができなかった。
僕はあの時、重たい荷物を代わりに持ってあげられなかった。
僕はあの時、フライの打球を追いかけることができなかった。
僕はあの時、自転車でみんなと一緒に冒険ができなかった。
最初は、歩けないことをなんとも思っていなかったのに、
少しづつ、少しづつ、足で歩けないことが嫌になった。
少しづつ、少しづつ、自分で自分のことが嫌いになった。
16歳になった頃、髪を金色に染めて、ピアスを開けて、タバコを吸った。
少しでも、かわいそうな人と思われたくなくて、僕はどこか尖っていった。
いつしか僕は、すべてに遠慮がちになって、人と距離を置くようになった。
そんな僕に、あの日、手を繋いで導いてくれる恋人ができた。
そんな僕に、あの日、すべてをさらけ出せる仲間ができた。
そんな僕には、今、自分だからこそ歩ゆんでいける道がある。
そんな時間を送ってきて、少しづつ、少しづつ、気づいてきた。
歩けない自分を、バカにして、笑って、恥ずかしく思ってたのは、
誰でもない自分でしかなかったと。24年目に気づくことができた。