2年ぶりに歯が折れた。欠けたとかいうレベルではなく、ド派手に砕けた。痛みで一日寝込んだ。
急な坂道を登っている時だった。歯を食いしばって、車いすをこいでいることが理由と診断された。
「骨が弱いんだから、歯も同じですよ。無理は禁物です。車いすはなだらかな道だけにしてください」
平坦な道だけを進めと言われている気がした。でも、違う。もっと肩の力を抜けということだ。
17歳で自殺まで追い込まれ、24歳で三途の川を渡りかけ、27歳でまた足がダメになった。
それでも、しぶとく今日も生きている。変わらず前を向いて、車いすをこいでいる。
大切な歯を失って、また気づく。歩けなくても、車いすでも、健康であることの幸せを。失って初めて気づくのはもう飽きた。
当たり前のようで当たり前ではない今日を、健康で過ごせる日々を、これからは食いしばらない程度に噛み締めたい。
追伸
現在はマイカラーのマウスピースと共に、日々のありがたみを噛み締めています。